ミゾちゃんコラム#41「粘土でフィギュア作っててめえの自己表現しろ」の巻

仕事がめっきり減って、めんどくさいけどクライアント探しに奔走し、先日新しい媒体での連載を獲得した。
単価はよろしいが週に1本ノルマなので数がこなせず、もうちょっと働き口を得なければならない。

が、どうにも早く訪れた五月病のためか、脳みそが身体を思うように操縦してくださらない。
こういうとき、下手に焦ってもどうせ無意味だったりするし、今は本厄。慌てず騒がず、時が満ちるのを待つのがいいのだと思い、昨年の前厄から、趣味の“造形”ペースをかなりアップしている。

ご存じない方もいらっしゃるかもしれないのでちょっと補足説明しておくと、僕は自宅にフィギュアを制作するための部屋を構えている。
で、粘土やパテを使って怪獣やら怪人のフィギュアを作る趣味がある。これは詳しくおぼえていないが、2005年ぐらいから始めた趣味。今年で20年になる。

なんでフィギュアを作るようになったかっていうと、元々怪獣人形を集める趣味があったため。
しかし怪獣って人気のあるものばかり商品化され、マイナー怪獣は滅多に立体化の機会に恵まれない。
どっちかと言えば不人気とされる怪獣が好きだった僕は、「マスプロダクションが出さないなら俺が作る」を合言葉に、これまで数十体ほど自作してきた。

怪獣を作ることで得られるもの、それは…

怪獣のフィギュア作りというのは良い意味で時間泥棒。
一旦着手して全体の構成が見えてくるとそこからは完成までが割と楽しく、没頭できる場合もある。
写真や映像を頼りに肉付けして、劇中に似せて塗装。初期はこの流れで1体完成させるまで10日から1ヵ月要したが、今はやる気元気マンキーコングで2日か3日で終わっちゃうこともある。
それだけ、他にすることがないぐらい暇なんだろうね。

ところが完成したら、途端にその立体物に興味がなくなってしまう。
本当に気に入ったものは長く保管するが、大抵はすぐに処分したり、あげたり、売ったり、別の怪獣を作る素材に使ってしまったり、あるいは知らない間に行方不明になっていたり。

そう考えると、怪獣作りで僕は何を得ているのか、よく分からなくなる。
怪獣人形集める趣味もだいぶ縮小したし。

だけど趣味って大なり小なりそういう節はあるし、あんまり考えても仕方ないか。
どうせ僕が死んだら全部ゴミだ。

人形を作るために必要なものは、意外と少ない

僕の場合は怪獣専門だけど、たとえばパテにしても粘土にしても、そういったマテリアルと多少の根気さえあれば、誰でも好きなものを立体にすることはできる。
アニメの主人公でもいいし、実在のタレントでも、とにかく「このキャラの立体が欲しい」と思ったものを、自分でこさえようと思えばこさえられるのが人間だ。
人間の可能性は凄いね。

(パテ製)

パテの場合はやや値が張る。100gで1,600円ぐらいするし、15~20センチサイズのフィギュアを作る場合は、これが2つか3つ必要になる。
完成したらかなり丈夫で破損しにくいものになるという利点はあるけれど、ちょっと高い。

一方で粘土はもうちょっと安い。
僕がよく使うのは石粉粘土。ファンドとも呼ばれているが、きめ細かい造形ができて、乾燥後もそこそこシャープさを保ってくれる。塗料ノリもいい。
ただし粘土は粘土なので、乾燥したとしても故意にぶつけたり、落としたりすると破損しまくってしまう。

(こちらは石粉粘土製。)

粘土なので経年劣化も激しそうだが、実は石粉粘土って相当耐久性がある。
こないだ、たまたま20年前に造形したゴミみたいな造形の初期作を発掘したが、驚いたことに破損も欠けも見当たらなかった。ただ造形がカスだったので捨てたけど。

石粉粘土は百均でも売られている。一度に3つぐらい買えば十分。330円で15~20センチサイズのフィギュアは1体完成までこぎつけられる。
百均って粘土だけじゃなくヘラとかも売ってるので、ついでに買い揃えてもいいね。

フィギュア作りのコツは、これはもう一つも分からない。
僕は適当な人間だから、細かい部分は割と省略しちゃうし、完璧を求めるとキリがないから期間を決めて造形して、さっさと塗装して終わらせるようになった。
あと、どんなにこだわっても才能がないアマチュアには限界もあるし、その限界がチラ見えする前に終わらせた方が精神に優しいんだよね。

写真をしっかり観察して、作りながら逐一バランスをチェックしたらいいんじゃないかなぁ。
でも勢いでささっと作ってしまうのもいいと思うよ、どうせ自己満足の趣味なので、自分が納得できればいいし、全体が歪でもある角度から見たら似てるものができれば、それで十分だったりするし。

まあ、趣味はいっぱいあったほうがいいから、みなさんもやってみたらどうでしょう。

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